シーズン1 Ep06 ゲルフリンの手で… / By Gelfling Hand…
あらすじ
ゲルフリン族を団結させるため行動を開始しなければならないブレアたちだが、ハラールでの事件がそれを更に困難なものにしてしまう。
タイトルについて
1982年制作の映画「ダーククリスタル」で、廃墟の壁に刻まれていた文章 ”By Gelfling hand, or else by none.” より。字幕では “これはゲルフリンの使命である” となっている。
キャラクター
ゲルフリン族 / Gelfling
- パラディンたち / Paladins…Ep03などに出ていた赤髪のパラディンも含まれる。ブレアたちと共にクリスタル城へ連れ去られるところだった。リアンのことは手配者として認識していたが、スケクシスの行動とブレアおよびリアン自身の言葉を聞いて彼と記憶の共有を行い、同志となる。素早く行動を起こし、ストーンウッドへ真実を伝え、クリスタル城へも潜入する。
- クリスタル城の衛兵たち / Castle guards …ミラの兄も衛兵だったことがわかる。パラディンの言葉を聞いて決起する。1人だけ複雑な表情を浮かべているが、彼はEp01でオードンから留守を任されていたトーリン。忠実な彼がスケクシスへ反乱を報告したこともあり、衛兵たちは残酷な結末を迎えてしまう。
- モードラ・メラ / Maudra Mera…スプライトン・クランのモードラ。肌の色は濃い目、黒髪で耳は少し上にある。茶色の衣装を身に着けている。
- モードラ・エスリ / Maudra Ethri…シファ・クランのモードラ。茶色の髪で青い衣装を身につけている。(Ep02などに出ていたオニカと似ているが別人。また、長老=モードラではない)
- モードラ・シーシ / Maudra Seethi…ドゥーサン・クランのモードラ。青緑の肌に入れ墨、耳を隠すような帽子、濃紺の服を着ている。
- モードラ・レーシッド / Maudra Laesid…ドレンチェン・クランのモードラ。ガージンとナイアの母親。髪は明るい色と青のグラデーションで、青緑の服を着ている。ストーンウッドのモードラ・ファラと共に、スケクシスに反抗する意思を見せる。
- レキーア / Rek’yr…ドゥーサン・クラン出身。南ゼリックのサンドマスター。編み込んだ長髪、青緑がかった肌色に入れ墨。耳は小さめ。謎めいたクランの者であることと少し気障な物言いをするためか、リアンやハップは彼をあまり信用できない様子。共に2人のドゥーサンも登場している(名前不明)
ポドリン族 / Podling(Pod People)
※新規キャラの登場は無し
スケクシス族 / Skeksis
※新規キャラの登場は無し
ミスティック族 / Mystics(UrRu)
※新規キャラの登場は無し
その他の生物
- ウィンドシフター / Windsifter…赤い鳥のような生物。オールモードラ継承の儀式を行うセラドンの歌により、王冠のパーツを各モードラへ届けるため飛び立った。
- Moog(カナ表記不明)…クリスタル砂漠にいる、ヤドカリに似た生物。デザイナーは日本在住のYukari Masuikeさんで、Design a New Creature for The Dark Crystal: Age of Resistanceというコンテストで一般公募から採用された。(参考
Jim Henson’s The Dark Crystal | Design A New Dark Crystal Creature)Ep06ではレキーアがブレアに渡した魔除けの材料として登場している。 - クリスタルスキマー / Crystal Skimmer…エイに似た飛行生物で、ドゥーサン・クランの民が移動手段として利用している。
- ベヌ / Bennu…レキーアが乗っているクリスタルスキマーの名前。ブレアたちを太陽の輪の近くまで送り届ける。
用語など
- 生命の王冠 / Living Crown…オルモードラの王冠は7つのパーツに分かれており、7つのクランの団結と意思を表している。
- ピーチベリー / Peachberry…ストーン・イン・ザ・ウッドへやってきた侍従長に住民が投げつけた果物。元々なのか熟しているのか、壁に当たった際はベットリとしている。スケクシスはこの匂いが嫌いな様子。
- クリスタル砂漠 / Crystal Desert…結晶を含む砂に覆われた広大な砂漠。ドゥーサン・クランの民が住んでいる。
- Dream stitch(カナ表記不明)…オルモードラを弔う際、カイランが「記憶をつなぎとめる」ために使った手法。スプライトン・クランのみに伝わる奥義とのこと。
- 種子(名称不明)…「記憶をつなぎとめる」ために使われた種子。「記憶の共有」と同じように、Dream stitchされた種子は触れた者に記憶を伝えることができる。儀式の最後、光を放ちながら羽根のようなものを広げ、空へ飛び立っていった。
- Firca(カナ表記不明)…カイランが吹いていた笛。先が2つに分かれているゲルフリンの伝統楽器で、映画でもジェンが使っていた。
- スプライトン・クラン / Spriton Clan…サミ・シケットを拠点としている、農耕民のクラン。カイランの出身地。
- ドゥーサン・クラン / Dousan Clan…クリスタル砂漠に住む遊牧民。死や魔術に詳しい、謎めいたクラン。死を崇拝しているとして、城の護衛になることを認められていない。
- 空の勝負 / Trial by Air…羽根を持つ女性のゲルフリン同士が空中で争う方法。実際に行われなかったため詳細は不明だが、決まったコースを飛ぶ競争のようなものらしい。(モードラ・ファラはラウニップの道 / Raunip’s Pass を選び、モードラ・レーシッドから危険なルートと言われている)映画ではスケクシス同士の方法として石を剣で打つ Trial by Stone という方法が登場していた。
- ウェルスプリング / Wellspring…ドゥーサン・クランの拠点となっている砂漠のオアシス。緑に覆われ、クリスタルの泉がある美しい場所らしい。
ポイント
移動手段としてのアーマリグ
スケクシスの車の動力として使われているアーマリグ。リアン救出時に開放された3匹は、車のパーツをそのまま使って乗り物の代用にされた。軽い分スピードが出るが、無理やりしがみつく形であり、おそらくかなりイレギュラーな使い方である。リアンとカイランは1匹をシェアする形で、ガージンとナイアは各1匹を使用。
ブレアたちが連行される際は、車の後輪となるアーマリグの代わりに彼らの収容場所が設置されたため、3匹いるよりもスピードは落ちているように見える。行く手を阻むリアンに気づいて自発的に止まったということは、転がりながらも外は見えていると思われる。余談だが、何故かスケクシスたちはなかなか車の外へ降りようとしない。
ロアのデザイン
ジム・ヘンソンがブライアン・フロウドに会うためイングランドを訪れた時、彼の住むダートムーアの風景をダーククリスタル本編に取り入れたいと考えており、ロアはその岩山がモチーフになっているとか。(参考“We finally made a character Jim Henson wanted in the first film” – Dark Crystal artist Brian Froud talks Age of Resistance’s evolution | GamesRadar+)
オルモードラ継承の儀式
オルモードラの王冠には7つのパーツがあり、それぞれウィンドシフターによりヴァプラを除く6人のモードラの元へ届けられる。パーツを持ち寄ったモードラたちの合意により王冠が組み直され、新しいオルモードラへと継承される。スケクシス法で定められているため、ヴァプラ・クランの者がオルモードラになるのが恒例。
エキス泥棒
ストーン・イン・ザ・ウッドの住民たちから侍従長が言われた言葉。もちろん、スケクシスの陰謀がバレたため。字幕で泥棒と言われているところは原語でDrainerとなっており、エキスを排出させる者としての悪口である。クリスタル城へ行ったパラディンの台詞でもあったとおり、記憶の共有の共有はできないため、モードラ・ファラは当初「噂」として捉えている。
砂漠への旅
オーグラの元に集められた時点で意思を同じくしていたリアンたちだが、ロアに導かれクリスタル砂漠へ歩いている間により親しくなったようだ。例えばハップはおとなしくカイランの言うことを聞いている。ナイアとガージンが「沼地にいるときとは…」と言っているのは、彼らの故郷ドレンチェン・クランが沼地にあるため。
暗黒の半身
弓使いが狩人のことをそう呼んでいる。理由についてはEp07以降。
ゲルフリンの弔い
トラで失われた命はトラに還る。そのために遺体は「埋葬」されるようだが、セラドンは裏切り者は見せしめに「火葬」すると言い放つ。また、ブレアが「エキスをトラに送り還す儀式を」と言っており、生命の本質としてのエキスは元々認識されていたことがわかる。
弔いの儀式ではカイランが、亡くなったもの思い出と語るよう促し、歌を歌う。ディートたちもこれに同調し歌い始めるため、文化の異なるクラン同志でも(ポドリンも?)弔いの方法はある程度同じであると思われる。
秩序の崩壊
将軍が感情に任せてオルモードラを殺めてしまったこと、衛兵たちが真実を知ってしまったことから、スケクシスたちは秩序を守ることを止め、衛兵たちを捕獲し大量のエキスを搾取する。侍従長は計画的なエキス搾取を提案していたが、他のスケクシスは今後も積極的にゲルフリンから搾取するつもりになっている。なお、食べ物となる生物が食卓を走り、それを捕まえようとするシーンは映画のオマージュ。
7つのクランとモードラ
オルモードラ継承に伴い、グロッタンのモードラ・アーゴットを除く各クランのモードラがハラールに集結する。すべてのモードラは女性である。各クランに関しては上記「用語など」を参照。
ガージンたちとの別れ
ガージン、ナイア、カイランは真実を他のクランへ伝えるため砂漠以降は別行動をすることになる。別れ際、リアンはガージンを「大胆なガージン」と呼び、彼ら英雄たちすべてに二つ名がついた。(Ep05参照)
セラドンの変化
母を火葬した後から彼女の振る舞いにさらなる変化が訪れる。母の存在を全否定し、空の勝負の際は衣装がスケクシス風のドレスに変わり、メイクも濃くなる。生命の王冠も放棄してしまう。他のオルモードラには秩序(スケクシスによる統治の継続)か、混沌(ゲルフリンによる反乱)どちらを選ぶか迫っている。
なお、モードラ・ファラとの言い争いの際、セラドンは目の前を飛ぶファラの首元を手でつかみ、生命の王冠が乗った台へ向かって投げ落としている。その衝撃で王冠や台がバラバラになるのも含め、セラドンに特別な力があるようにも見えるが、おそらく不意をついただけである。
パペットによる感情表現
親愛なる家族を失ったブレアやリアン、それを見守る仲間たちの表情。セラドンとモードラたちのやりとり。捕虜たちを慰めるタヴラ。今回のエピソードは繊細な表情の演技が際立つ。パペットの仕組みとして、全身や頭と口はパペティア(手も含めると複数人)が動かし、目や耳は無線操作のアニマトロニクスを使用している。キャラクターの声は現場でパペティアが演じ、俳優がアフレコしている。ハップなどパペティアが声と演技を両方行っているキャラクターもいる。
関連コンテンツ
ロアはパペットとCGの両方を活用した大型のキャラクターで、パペティアを合成で自然に消せるようになったからこそ実現できたと言える。パペティアが見える状態で演じられる手法は日本の伝統芸能に習って「文楽」と呼ばれている。バラバラになりながら走るシーンなどはCGで、ブレアたちと触れ合うような通常のシーンはロッドパペットで撮影されているようだ。下記記事には合成前後の写真が掲載されている。
Moogをデザインされた方、採用当時のツイート。
Dark Crystalのクリーチャーデザインコンテストで優勝しました!Netflixにて前日譚が製作され、それに出演することになるようです。。? https://t.co/y9a0dpwXyi #darkcrystal #Netflix pic.twitter.com/LqQUJfplZn
— toronn (@toronn) February 28, 2018
7つのクランの特徴について、ブライアン・フラウドと息子のトビー・フラウドによるインタビュー(英語)
(2019/11/12 Dream stitchについて修正、種子などについて追記)
(2019/11/13 セラドンの変化について追記)
参考
The Dark Crystal Wiki | FANDOM powered by Wikia
Brian and Toby Froud break down the design of the 7 Gelfling Clans
ダーククリスタル: エイジ・オブ・レジスタンス | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
The Dark Crystal(公式サイト)
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