2026年2月4日より配信されている『The Muppet Show/マペット・ショー』には、字幕や直訳だけでは伝わりづらいジョークやネタが数多く含まれています。この記事では、より作品を楽しめるよう、シーン順に解説をしていきます。
『マペット・ショー』とは
2026年の『The Muppet Show/マペット・ショー』は、1976年から1981年にかけて主にイギリスとアメリカで放送された、マペットたちが主演を務める30分のバラエティ番組『The Muppet Show/マペット・ショー』※を元にしています。 ※以下、オリジナル版と表記
オリジナル版の終了後も、時代にあわせたリメイクや劇中劇での再現などはありましたが1、一本の番組としてオリジナル版の再演が試みられたのは今回の『マペット・ショー』が初めてです。
オリジナル版の形式
「マペット・シアター」という古い劇場を舞台に、毎回実在の有名人(歌手・俳優・コメディアンなど)をゲストに迎え、歌や寸劇を披露するバラエティ番組です。ステージ上の華やかなパフォーマンスと、舞台裏でのドタバタ劇が並行して描かれるのが基本スタイル。この番組で活躍したキャラクターたちが、現在の “ザ・マペッツ” というブランドの原点となっています。
オリジナル版の目的と特徴
カーミットやロルフなどのマペットは深夜番組にも登場していたキャラクターでしたが、1969年から放送された『セサミストリート』の成功により、「マペット=子供向け」というイメージが定着していました。『マペット・ショー』はそのイメージからの脱却と、広い年齢層が楽しめるエンターテインメントを目的としています。そのため風刺や業界ネタ、ブラックユーモアなど、少し大人向けの笑いが散りばめられているのが特徴です。
オリジナル版の製作経緯
ジム・ヘンソンは当初アメリカのテレビ局に企画を持ち込みましたが、シリーズ化には至りませんでした。そんな折、イギリスの放送局ATVが資金提供と共同制作を申し出て、イギリスで制作しアメリカを含む世界に販売する形になりました。そのため、イギリスのシニカルなユーモアとアメリカのドタバタ劇が融合したような、多様な笑いの要素が混ざり合った雰囲気の番組になっています。1976年にイギリスで放送が始まるとすぐに大ヒットとなり、最終的には世界100カ国以上で放送されました2。1981年に放送が終了した後も、彼らを主役にした映画や短編などが作られ続けています。
日本におけるオリジナル版の放送・配信
日本では10数本がテレビ放映されていますが、ヒットには至りませんでした3。Disney+での配信も日本は除外されています(2026年3月現在)。
2026年版『The Muppet Show/マペット・ショー』解説&補足
ここからは2026年版『The Muppet Show/マペット・ショー』について、シーン順に解説していきます。
1. ショーの準備
1-1. 舞台裏
マペットシアター
オリジナル版の劇場がかなり再現されています。映画『The Muppets / ザ・マペッツ』でも劇場が出てきていますが、あちらは別の映画のスタジオセットを流用したもので、内装や規模も異なります4。
廊下に飾られている写真
かつて『The Muppet Show/マペット・ショー』に登場したゲストスターとの記念写真。見えづらい方もいますが、おそらく下記の通り。
- ジョン・クリーズ(Episode 223より)
- ボブ・ホープ(Episode 221より)
- スティーブ・マーティン(Episode 208 より)
- デビー・ハリー(Episode 509より)
- ジュリー・アンドリュース(Episode 217より)
- エルトン・ジョン(Episode 214より)
- ダイアナ・ロス(Episode 424より)
受付と舞台裏
オリジナル版がかなり再現されています。カーミットのマグカップもオリジナル版に出てきていたものです。
ロルフが弾いている曲
『The Muppet Movie / マペット・ムービー(マペットの夢見るハリウッド)』より、『Rainbow Connection』(Spotify、YouTube)→『Movin’ Right Along』(Spotify、YouTube)
脳内音楽
センチメンタルな演出を逆手に取ったギャグ。ロルフは「頭の中の感動的なモンタージュだとでも思った?」と言ったあと、軽快な『Movin’ Right Along』で流れを変えます。なお、冒頭ではピアノ以外の楽器やSEも鳴っています。
「開演まで30秒です」
オリジナル版でお馴染みのセリフ。
1-2. 楽屋、ゲストスター登場
サブリナ・カーペンター
今回のゲストであるポップスター5。ミス・ピギーは2025年のコンサートにゲストとして登場したことがあります。(詳細:サブリナ・カーペンターのコンサートツアー『Short n’ Sweet Tour』最終日にミス・ピギーとボーボーが登場 Muppamiroh)
ウィッグをめぐる会話
サブリナはボリュームのあるツヤツヤな髪をしており、一部で「ウィッグなのでは」という議論もあるようです6。あえてその本人に「地毛だ」と言わせるギャグで、サブリナに対抗心を持つピギーも地毛だと言い張ります。ピギーは後のシーンでウィッグを被っていることがわかりますが、そもそもマペットなので「地毛」という概念があるかどうか微妙なところでもあります。
ロッド
ピギーやカーミットなどの腕を操るための細い棒(ロッド)。近年の作品ではCG合成で消されるのが主流でしたが、今作ではあえて消さずにそのまま映像に残しているようです。
2.オープニング
2-1. 前奏
マペットショーのテーマ
曲名はそのまま『The Muppet Show Theme (2026)』(Spotify、YouTube)。新規録音です。
オリジナル版との比較動画を見ていただくと、再現具合がわかりやすいです。
2011年の映画『The Muppets / ザ・マペッツ』とも比較してみると面白いと思います。なお、アーチの中央をくぐってくる水色の大きなマペット(ソグ)は映画では大きすぎてアーチをくぐれていませんが、今回はデジタルで縮小することで再現したそうです7。
2-2. 歌の前半
「何が始まる?」「知る由もない」
バルコニーの老人、スタトラーとウォルドーフが歌う場面。 原語を訳すと「なぜ俺達はいつもここに来るんだろう? まあ永遠にわからないだろうな」「拷問みたいなもんだ」「このショーを見なきゃならないなんて!」という感じです。彼らはショーの常連かつ半メンバーのような立場で、オリジナル版の頃から野次を飛ばし続けている名物キャラクターです。
2-3. 歌の後半
2-4. 歌の最後
アーチに揃ったメンバー
このあと一切出てこないキャラクターもいますが、そのあたりもオリジナル版の再現です。
ゴンゾによるオチ
ここもお約束。オリジナル版では毎回違ったネタになっていました。
3. カーミットの挨拶、『Manchild』
3-1. 挨拶
「あの古ぼけたショーか」
字幕では「不足はない」「カネ不足だからやるのさ」となっている部分。原語では、「またあの古いショーをやるなんて信じられない」に対しウォルドーフが「if it ain’t broke.(もし壊れてないなら⋯)」と言います。これは「If it ain’t broke don’t fix it.(もし壊れていないなら直すな)」ということわざで、古いショーでも現状維持のほうがマシ、というような意味だと思われます。それに対し、スタトラーが「No, they are broke.」と返すのは、「broke(壊れる)」と、「broke(文無し、金欠)」をかけています。
3-2. 『Manchild』
『Manchild』
サブリナ・カーペンターの代表曲(Spotify、YouTube)。大人になれない幼稚な男性(Manchild)への文句と、でもそんな男性に惹かれてしまう自分もいる、という自己矛盾。ここでは、Manchildである荒くれ者たちをサブリナが物理的に懲らしめながら歌っています。歌詞の日本語訳がユニバーサルミュージックのサイトに掲載されていますので、参考にどうぞ。「Manchild」の歌詞・対訳を公開! – サブリナ・カーペンター
4. 舞台裏、ゴンゾのスタント
4-1. 舞台裏、舞台袖
チュチュを着たアルマジロ
カーミットに呼ばれる直前までスクーターと話しているピンクのマペット。よく見ると水色のヒラヒラしたものを履いています。彼(彼女?)が後に話題に登る「チュチュを着たアルマジロ」です。
クビにするのを手伝う
フォジーがカーミットに「I can help you trim some of the show.(ショーを少し削るのを手伝おうか)」と声をかけます。続いて字幕では「物理的に?」となっているところ、原語では「How about a little off the top?(トップを少し短くするのは?)」と言っています。ここは、削減したり縮小したりする「trim」と、床屋で毛先を整える「trim」をかけており、大きなハサミはそのための小道具です。
小道具を使った笑い
ハサミを見たカーミットは、フォジーに「“prop comedy”がいま役立つかわからないよ」と返しています。プロップコメディは小道具を使って視覚的なインパクトで笑いを取るコメディジャンルのことで、コメディアンであるフォジーが本気で言っているのか、カーミットが判断に迷っているように見えます。続いてフォジーは「I’ll have to put on my thinking cap(思考の帽子をかぶらないと=深く考えないと、という慣用句)」と言いながら、これまたプロップコメディっぽく大げさなバルーンの帽子をかぶります8。
セス・ローゲン
今作でエグゼクティブプロデューサーに名を連ねる、俳優・コメディアン9。これまでにもマペッツと何度か共演しています10。マペット・ショーに関われることを純粋に喜ぶ彼に対し、「他に夢はないの?」と問いかけたり、「Then you can let yourself know we’re going in a different direction.(プロデューサーなら自分で方向転換すると伝えたらどう)」と容赦のない現実的な声掛けをするフォジー。ショービジネス界への皮肉ギャグとも受け取れます。また、舞台裏での「トップを少し短くするのは?」というセリフが「トップ」の一員であるセスのカットにつながるという、少し時間差のあるギャグになっています。
4-2. ゴンゾのスタント
無謀なスタント
ゴンゾのスタントパフォーマンスもオリジナル版からの定番ネタ11。BGMは『O Fortuna(おお、運命の女神よ)12』(Spotify、YouTube)。彼はそのまま言い続けており、エンディング時点でゾーイ・サルダナ(2025年アカデミー助演女優賞=最新受賞者)の名前が出ているので、一応やり遂げたと言えそうです。
5. Pigs in Wigs(カツラのブタたち)
5-1. コント
『カツラのブタたち』
タイトル『Pigs in Wigs』はオリジナル版のコントドラマ『Pigs in Space 』由来でもあり、冒頭にあったウィッグネタを踏まえたもの。BGMはサブリナ・カーペンターの『Espresso』(Spotify、YouTube)アレンジになっています。
イギリス貴族風のブタたち
字幕で「サンドイッチマヨ領ブタジャートン公爵夫人」となっているのは、原語だと「Duchess Piggerton of County Mayo Upon Sandwich」で、Piggerton(ピッグ+イギリス風の語尾)、County Mayo(アイルランドに実在するメイヨー県。マヨネーズを連想)、Upon Sandwich(イギリス貴族の称号に使われる、地名を元にした表現+サンドイッチ)。「ブタコマニク卿」は「Lord Scrappleton」で、Scrappleton(豚肉の切れ端を煮て固めた料理Scrapple+イギリス風の語尾)。それぞれ料理やブタに関する言葉を元にしつつ、イギリス貴族を思わせる名前になっています。ピギーが「my crumpet」(私のクランペット。イギリスでよく食べられるパン)と呼ばれるのもイギリス風ではありますが、ピギー本人はいつもどおりフランス語まじりの気取った言葉や発音を使っており、そこにスペイン語訛りのペペが入ってくるので、雰囲気はめちゃくちゃです。
元々の愛人は誰だった?
「彫りの深いアゴ、黒髪、たくましい腕」ということでペペには1つも当てはまりません。ブタで当てはまりそうなのは、髪型以外であればリンク・ホグスロブくらいですが、詳細は不明です。ちなみにリンクは後ほど姿を見せており、ニュース速報前の舞台裏でスクーターに「ママが客席にいるんだ」と声をかけています。
5-2. バルコニーにて
トマト
下手な芝居にトマトを投げる、という文化から。ちなみに映画批評サイトRotten Tomatoesの由来もこれです。
6. 舞台裏、『Blinding Lights』
6-1. 舞台裏
円滑とは言えない
「このリストを持っている限り円滑」と言った直後、リストを失うスクーター。ボーボーが「Feels like you kinda tempted fate with that one.(今の発言が運命を挑発した感じだな)」と言うのは、いわゆる「死亡フラグ」みたいな感覚ですね。
6-2. 『Blinding Lights』
『Blinding Lights』
疾走感のある曲調に乗せて恋愛への依存や夜の街の孤独と高揚感を歌った、ザ・ウィークエンドの代表曲(Spotify、YouTube)をリゾがカバー。オリジナル版の『マペット・ショー』でも、マペットやゲストが原曲のイメージを変えるようなカバーを数多く披露していました。今回は路地裏で夜の住人であるドブネズミたちが歌い踊ることで、ポップさが強調されたものになっています。シンセサイザーがネズミではなくハトなのは、鳥特有の首の動きの面白さだけでなく、ミュージックビデオのオマージュかもしれません13。
7. カーミットの危機とマーヤ
7-1. 舞台裏
サンダル
ピギーは予定の演目に合わせてローマ風のグラディエーターサンダルを履いています。ボーボーが「変わらない」と言うのは、「Good to be back.(戻ってきてよかったな)」とバタバタした現状を皮肉っているのか、喜んでいるのか、どちらともとれます。なお、この直前に後ろにいるビッグ・ミーン・カール(大柄のモンスター)がスノース(ピンク色のマペット)の片方を食べようとしていますが、後に2匹とも出てきているので無事だったようです。
7-2. 楽屋
お騒がせは大好き
カーミットが「We’re still working out a few kinks.(細かい不具合を解消中なんだ)」と言ったことに対し、サブリナは「Oh, that’s all right. I love a kink.(大丈夫、私は“kink”好きよ)」と返します。「kink」には「不具合」という意味のほかに、「性的嗜好(特に少し変わったもの)」の意味もあります。カーミットは前者の意味で使っていますが、サブリナはその語をあえて単数形にし、後者の意味にずらしたような返しをしています。カーミットは彼女の発言を単に妙だと感じたのか、それとも性的な含みに動揺したのか、どちらとも取れる曖昧な反応を見せます。サブリナらしい挑発的でセクシーなイメージが表れた、ダブルミーニングの大人向けジョーク14です。
ビュリツァー賞、新硬貨の顔
いくらサブリナでもそれは嘘だろう・・・という、ハリウッドスター特有の「謙遜を装った過剰な自己アピール」を皮肉ったジョーク。
私の弁護士が⋯
褒め言葉が法定論争に。サブリナはピギーをリスペクトしつつ、対等にやりあっています。一応「世代ネタ」も補足しておくと、ピギーは1976年デビューで、サブリナは1999年生まれ。そういうことです。
7-3. 客席
マーヤ・ルドルフ
コメディアン・俳優15。隣りにいるマペット(ビューティフル・デイ・モンスター)はマーヤとは初対面のようですが、「自分もその嫌なヤツに入っているのか」と自意識過剰っぽい反応。なお、彼はマイナーキャラではありますが、1976年にデビューしている古参のマペットです16。
8. マペット・ラボ
8-1. マペット・ラボ
マペット・ラボ
これもオリジナル版でお馴染みのコーナー。公式のダイジェスト動画がありますので、ブンゼン博士の発明およびビーカーがいかにひどい目にあってきたかを是非ご覧ください。The Muppet Show’s 45th Anniversary: Muppet Labs Experiments | Disney – YouTube
今日のテーマは“注意散漫”
現代病としての注意散漫。スマホ依存や情報過多により「everything is competing for your eyeballs.(あらゆるものがあなたの眼球を奪い合う)」、さらに見ていないときも(不安が)脳を蝕む⋯という、現代社会への風刺です。そう言っている博士自身には「眼球」というパーツがないというのも笑いどころ。
フォーカス・ポーカス
手品などで使われる代表的な呪文「ホーカス・ポーカス」(「まやかし」「いんちき」というニュアンスもある)をもじったもの。
8-2. 客席
9. 舞台裏、ニュース速報
9-1. 舞台裏
散らばる目玉
舞台裏の散らばる目玉は、ビッグ・ミーン・カールが口から吐き出したもの。一旦は食べたんでしょうか。
スピリチュアルなアドバイス
結局ゴンゾが持っていったリストはカーミットの手元に戻っていますが、すでに収拾がつかない状態のようです。そこへマイペースに話しかけてくるジャニス。結果的にカーミットはちょっと落ち着くことができています。彼女について詳しく知りたい方は『The Muppets Mayhem / ザ・マペッツ・メイヘム』をご覧ください。
9-2. ニュース速報
マーヤが蘇った理由
後ろで大道具係のスウィータムがロープを引いており、そこから落下したサンドバッグが彼女の腹部を直撃。その衝撃で目玉を吐きだしています。
臨死体験
マーヤは「光を見た」「魂の川」という典型的な天国イメージを挙げたあと、「炎の壁」「赤い服の男」と地獄を連想させるモチーフを口にします。司会業を得意とする彼女が、死後の世界でも悪魔と思われる存在に延々と司会をやらされるという自虐ギャグで、最後に「天国みたいでしょう?」とポジティブに言い換えることでツッコミを促す流れになっています。
悪くない、良くもない
「not half bad」は直訳すると「半分悪くない」ですが、意味としては「そう悪くない」「案外いい」を示します。ただしここでは「half badではない」→「all bad」つまり「全部悪い」→褒めていない、というオチです。
10. 『Islands in the Stream』
『Islands in the Stream』
ケニー・ロジャースとドリー・パートンによるデュエットで、1983年に全米1位を獲得した大ヒットソング(Spotify、YouTube)。サブリナは前半をカーミットと、後半を乱入してきたピギーと歌います。「流れの中の島」というタイトルに合わせて水の上の小舟に乗る演出がなされていますが、周囲には大蛇やワニがいて、どこかサバイバルめいた緊張感も漂います。ロマンティックな二人だけの世界だったはずが、後半は原曲の歌詞を「From one diva to another (歌姫から歌姫へ)」に変更するなど、強烈なエゴのぶつかり合いに発展します。それでもハーモニーだけは完璧に成立している、というアンバランスさが笑いどころです。
認め合いと探り合い
デュエット後のサブリナとピギーは、笑いながらもどこか探り合っている様子。サブリナのリスペクトは本心でしょうが、「若いのに」という言葉はさりげないマウントにも聞こえます。一方で会話は冒頭の楽屋でのやり取りと同様、「外見の盗用」「著作権侵害」「決めるのは弁護士」とまた訴訟の方向へ転じ、表面上の和やかさと法的な威嚇が同じトーンで語られています。
11. 『Don’t Stop Me Now』、エンディング
11-1. 舞台裏、舞台袖
片目が両目に
階段横、眼帯をした猫(ガファー)にビーカーの目玉がついています。
彼は無理だろうけど
カーミットへの不信感を口にしたサテーは、これまでセリフのない役や背景のモブとしての出演がほとんど。ここで語られる「燃やされた」という出来事に該当するエピソードも過去の出演作には見当たりません17。おそらく今作では、嫌味を言っても後腐れのない立ち位置のキャラクターとして起用されたのではないかと思います。
11-2. 『Don’t Stop Me Now』
『Don’t Stop Me Now』
1979年リリース、クイーンの代表曲の一つ(Spotify、YouTube)。高揚感と勢いを前面に出した楽曲で、スペシャル番組としての華やかさと「1回限りのスペシャル番組ではなく、ショーはまだ終わらない」という意思表示にも感じられる締めくくりになっています。
11-3. エンディング
公式キャラでもない
最後まで表舞台に出してもらえなかったセス。「チュチュを着たアルマジロ」のことを字幕では「公式キャラでもない」、原語では「That guy’s not canon.(あいつは正史にいない)」と言っています。Canonというのは映画やアニメにおける正史・公式設定を示す言葉18。作品外の設定について作品内の人物が口にするという、いわゆるメタギャグです。
身長のおかげ
ラストでカーミットから紹介されたサブリナは、「背が同じくらいだから馴染めた」と返します。彼女は身長約152cmと小柄なことで知られ、それを自らの魅力として前向きに打ち出してきました19。本作ではサブリナもエグゼクティブプロデューサーの一人で、このような自分をネタにしたものや際どいジョークも本人の理解と合意の上に成り立っていると考えられます。
左腕が痛みだした
老人2人は「拍手のせいではないな」と笑って済ませていますが、「左腕の鋭い痛み」とは心筋梗塞や狭心症の兆候。最後は心臓を気にしているようにも見え、ちょっとブラックなオチになっています。
補足
ウォルターが出ていないのはなぜ?
2011年の映画で仲間入りしたウォルター20。彼を演じたピーター・リンツは今作にも参加しているため、演者の都合とは考えにくいです。また、比較的新しいキャラクターであるイタチの弁護士ジョーの姿も見られず、七面鳥のベバリーは観客役でショーのキャストではありません。今回はあくまでオリジナル版の再現という位置づけであることを考えると、その方向性によるものかもしれません。
エレクトリック・メイヘムの出番が少ない?
映画や近年のドラマで印象的な活躍を見せていたため意外に感じられた方もいるかもしれませんが、オリジナル版の『マペット・ショー』では彼らは主にバックバンドとしての役割が中心。コントに個別で登場することはあっても、物語の前面に出る存在ではありませんでした。そのため、出番が減ったというより、原点に近い立ち位置に戻ったと考えられます。
登場するマペットの名前など
『The Muppet Show/マペット・ショー(2026年)』登場マペット一覧にてご紹介しています。
この記事の作成にあたり、本編を視聴して気になった点や疑問点などについてSNSでアンケートを実施させていただきました。貴重なご意見や回答をお寄せいただいた皆さま、本当にありがとうございました。
- バラエティ形式の番組:『Muppets Tonight / マペット放送局』、『Muppets Now! / マペット大集合!』、『The Muppets(TV Series) / ザ・マペッツ(TVシリーズ)(劇中の番組)』など
作品内での再現:『The Muppets / ザ・マペッツ』、『Muppets Most Wanted / ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』など
ステージイベント:『The Muppets Take the Bowl 』、『The Muppets take The O2』 ↩︎ - The Muppet Show | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
- マペット・ショー – Wikipedia ↩︎
- ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド、Stage 28。1925年の映画『オペラ座の怪人』にも使われたセットです。2014年に解体され現存しません。(参考:Stage 28 – The Phantom Stage – Universal Studios Hollywood – YouTube) ↩︎
- サブリナ・カーペンター – Wikipedia ↩︎
- Sabrina Carpenter Weighs in on the Wig Debate in the Most Unserious Way | Glamour ↩︎
- Thog | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
- ちなみにオリジナル版に、ゲストのスティーブ・マーティンがバルーンで作った帽子を被るコントがあります(Episode 208 )。 ↩︎
- セス・ローゲン – Wikipedia ↩︎
- Netflix セス・ローゲンのチャリティ特番にマペッツが出演 | Muppamiroh
マペッツの仲間たちがリモートで歌うスペシャル動画 | Muppamiroh
Muppets Now!/マペット大集合! シーズン1 第6話 解説&補足 | Muppamiroh ↩︎ - Gonzo’s stunts | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
- カンタータ「カルミナ・ブラーナ」より(カルミナ・ブラーナ – Wikipedia) ↩︎
- MVの冒頭、ラスベガスのアーケードでハトが蹴散らされているため。考えすぎですかね。 ↩︎
- こうした大人向けのジョークや、この後に続くビーカーの目玉が取れるホラーな描写(8-1.)、マーヤが喉をつまらせ死にかける(9-2.)などは、マペッツに「子ども向け」というイメージを持っている人にとってはやや戸惑う展開かもしれません。しかしオリジナル版の『マペット・ショー』のころから、こうした毒っ気のあるブラックユーモアや含みのあるギャグは随所に見られており、本作もその伝統をしっかり継承していると言えます。(参考:(Fuzzy and) Blue Humor on The Muppet Show: A History of Muppet Sex and Violence – ToughPigs)。近年の『ザ・マペッツ(TVシリーズ)』などでも、キャラクター同士の関係性やセリフの中に同様のニュアンスが盛り込まれています。 ↩︎
- マーヤ・ルドルフ – Wikipedia ↩︎
- Beautiful Day Monster | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
- Satay | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
- カノン (文芸) – Wikipedia ↩︎
- 2024年のアルバムタイトル『Short n’ Sweet』や同作のプロモーションなど(参考:Sabrina Carpenter Daily: 「Sabrina Carpenter billboards seen in Times Square, New York! / X) ↩︎
- Walter | Muppet Wiki | Fandom ↩︎



