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The Muppets Mayhem/ザ・マペッツ・メイヘム シーズン1 第7〜8話 解説&補足

記事で扱っているエピソードまで視聴していることを前提として書かれています。※それ以降のネタバレは含みません。
過去に公開された作品(映画含む)の内容に触れている場合があります。

シーズン1 第7話 Track 7: Eight Days a Week/トラック7:エイト・デイズ・ア・ウィーク

タイトル

The Beatles(ザ・ビートルズ)の曲”Eight Days a Week” (1964年)より。

ネタ解説&補足

アクロス・ザ・ユニバース
今回はアバンタイトルなし。ノラが「世界の至るところ(アクロス・ザ・ユニバース)で…」と言っているのは、The Beatlesの曲”Across the Universe”にかけています。ロキュメンタリーとは「ロック(rock)」と「ドキュメンタリー(documentary)」を合わせた言葉。JJの登場でアニマルとムーグはピリピリしています。「Get back(帰れ)」と言われてアニマルは怒っていますが、これはJJが説明しているとおりビートルズのドキュメンタリー作品のタイトル(および1969年発売の曲名)。今回はビートルズとドキュメンタリーネタが多めです。

一流の監督
ケヴィン・スミス(Kevin Smith)は映画監督、俳優、コミックの脚本なども手掛けている多彩な人物。『クラークス(Clerks)』は代表作、コンビニ・ウォーズとは『コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団(Yoga Hosers)』。エレクトリック・メイヘムとは若い頃からの友人らしく、アニマルは「Brosci」と呼んで駆け寄っています。フロイドによると「Bro Pesci」「Broey Ramone」「Broseph Gordon-Levitt」はそれぞれ「Joe Pesci(ジョー・ペシ)※俳優」「Joey Ramone(ジョーイ・ラモーン)※Ramones(ラモーンズ)のボーカル」「Joseph Gordon-Levitt(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)※俳優」をもじったもの…と思うのですが、BroはBrotherだとしても何故そんな渾名になったのかはわからず。ズートが「コモドアーズか」と言うのはバンド「The Commodores(コモドアーズ)」のことだと思いますが、こちらも元ネタ不明。わかる方は教えてください。

ビートルズのように…
ドキュメンタリーの本編撮影開始。最初に黒バックでテキストが出てくるなど、ビートルズのドキュメンタリー”The Beatles: Get Back(ザ・ビートルズ:Get Back)”のパロディが含まれます。カレンダーには色々書き込みがされており、その中にはカーミットのイラストもあります。撮り方も手持ちで高速ズームインを多用するなど、ドキュメンタリーっぽくなっています。何故かペニーが混ざっているのはオノ・ヨーコの替わりみたいですね。JJが「誰か来て」とアニマルから逃げているのは英語では「Help, I need somebody!」と”Help!”の歌詞のままになっています。その後の台詞でもビートルズの曲名が複数回出てきます。

バンド名の由来
元々のバンド名「The Good Times Happy Trails Super Smiles Fun Band(楽しく旅する笑顔のバンド)」 略して「TGTHTSSFB(たの旅えがバンド)」だったそうです(初出)。「Whisky a Go Go(ウイスキー・ア・ゴーゴー)」はハリウッドにあるライブハウス。そこで電気ショートによる騒動が起き、その後レコード契約を持ちかけたペニーの一言で現在のバンド名「Dr. Teeth and the Electric Mayhem(ドクター・ティース&エレクトリック・メイヘム)」が決まったそうです(初出)。その後、どうでもいいことで言い争う日々が続いてしまいます。ズート以外。

リップスの友人たち
リップスはBで始まるバンドのメンバーとしてThe Bangles(バングルス)のSusanna Hoffs(スザンナ・ホフス)を連れてきます。「エジプト人の歩き方を教わった」はThe Banglesの曲”Walk Like an Egyptian(エジプシャン)”から。次に連れてきたのはポールの代わりに歌手のPaula Abdul(ポーラ・アブドゥル)。Skat Kat(スキャット・キャット)は彼女の曲”Opposites Attract(甘い誘惑)”に登場するキャラクターで、Tシャツにいるとおりミュージックビデオではアニメーションで描かれています1。その後フロイドが「Straight Up(ストレイト・アップ)」というのも彼女の曲名から。

ズートと靴
突然ズートの仮装で現れたのは超大物俳優のMorgan Freeman(モーガン・フリーマン)。ズートは突然自分の靴を「Jimmy(ジミー)」と呼び話しかけ、靴が口(?)を開きます。ノラと同じく視聴者も呆気にとられる展開。今作に出てくるズートの靴は第2話でも宙に浮いていたり2と、謎の存在。台詞はズートの腹話術らしいのですが、本当に喋っているかもしれません。このキャラクターはズートのマペットパフォーマーDave Goelz(デイヴ・ゲルツ)の発案によるもので、名前および歯(Daveが彫ったもの)はJim Henson(ジム・ヘンソン)をモデルとしているそうです3

ただのエレクトリック・メイヘム
何だかんだで事態が収束。ティースがバンド名を宣言するときの台詞は『The Muppet Movie/マペット・ムービー(マペットの夢見るハリウッド)(1979年)』を踏襲しています。また、JJが本音を話したからか、単純にウサギのせいか、これ以降アニマルはJJのことを「悪い」と言っていません。

サイレント・ボブ
ティースが「最後に名言が…」と言っているところは英語では「Silent Bob drops some knowledge at the end of the movie」で、Silent Bobとはケヴィン・スミスが自身の映画で何度か演じているキャラクター。

愛しい人
エンディング、”The Beatles: Get Back(ザ・ビートルズ:Get Back)”を手掛けた映画監督のPeter Jackson(ピーター・ジャクソン)がやってきます。アニマルが「Precious!(愛しい人!)」と叫ぶ、ホビット庄、など彼が監督した『The Lord of the Rings(ロード・オブ・ザ・リング)』シリーズのネタが続きます。「ミート・ザ・フィーブルズ」は彼が監督した人形劇ブラックコメディ作品『Meet the Feebles(ミート・ザ・フィーブルズ 怒りのヒポポタマス)』のこと。

登場楽曲

All You Need Is Love(カバー)
原曲:The Beatles “All You Need Is Love”(1967年)
愛こそすべて。屋上で歌うのは”The Beatles: Get Back(ザ・ビートルズ:Get Back)”にも収録されている伝説のルーフトップ・コンサートへのオマージュ。

シーズン1 第8話 Track 8: Virtual Insanity/トラック8:ヴァーチャル・インサニティ

タイトル

Jamiroquai(ジャミロクワイ)の曲 “Virtual Insanity”(1996年) より。

ネタ解説&補足

スマホ支給
アバンタイトルでは第2話と同じくキャピトル・レコード本社前を通っています。JJはバンドメンバーにスマホを支給(リップスは元々持っているので対象外)。ハナとアニマルを組ませて「Hanimal(ハニマル)」と愛称をつけています。英語で言っている「Bennifer」 はBen Affleck(ベン・アフレック)とJennifer Lopez(ジェニファー・ロペス)のカップルにつけられた愛称。「We are going to break…」と言いかけるのも、その辺りが元ネタ。Breakup(破局)とBreakthrough(成功)。

ウッドストックみたい
ウッドストックは1969年開催の大規模野外コンサートWoodstock Music and Art Festival(ウッドストック・フェスティバル)。フロイドが「Yep, except maybe this time we remember it(ああ、でも今回は覚えているかもな)」と言っているのは単純に当時の記憶が曖昧なのか、またはドラッグの使用を思わせる台詞でもあります。字幕では「誰もキマってないフェスか」になっています。

SNSの良いところと悪いところ
SNSのフォロワーとして複数のアーティストの名前がでてきます。お礼にティースたちが投稿しようとした一般的ではないワードが自動補正され、tremendulous(素晴らしい)→terrible(ひどい)、talenticious(才能がある)→talentless(才能がない)、stupendorous(おどろくべき)→stupid(愚か)になってしまい、大炎上。フロイドとティースは争いたくないけど「リヴァーボトムは別」「悪夢(ナイトメア)だったな」と言うのは、ジム・ヘンソンが監督した『Emmet Otter’s Jug-Band Christmas/かわうそエメットのガラクタバンド(1977年)』に登場するならず者のバンドThe Riverbottom Nightmare Band4を指していると思われます。

ファンの怒り
街の中で襲われるエレクトリック・メイヘムのバン。このシーンはディズニー所有の映画スタジオGolden Oak Ranch5で撮影されています。現れるのはTaylor Swift(テイラー・スウィフト)のファン=Swifties、Beyoncé(ビヨンセ)のファン・BeyHive6、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)のファン・Beliebers7、Lady Gaga(レディ・ガガ)のファン・Little Monsters。ファンはそれぞれ曲のタイトルを元にした台詞を言っています。Beliebersのリーダー役Riki Lindhomeは『The Muppets(TV Series)/ザ・マペッツ(TVシリーズ)(2015年)』でフォジーの彼女ベッキーを演じていました。なお、この1件でバンは破壊されてしまいます。

ジャニスの例え話
迷うノラにジャニスが語った例え話というか過去の話。初出。フロイドとの恋敵だったBetty (ベティ)が何者なのかは不明です。

バーチャルライブ
ビデオゲームMinecraft(マインクラフト)が名称そのままで登場。ここでは先程の現実に加えて他のアーティストのファン…BTSのファン=ARMY、 Rihanna(リアーナ)のファン=Navy、Natalie Merchant(ナタリー・マーチャント)のファン=Marinesもやってきたようです。音楽のメッセージでファンの怒りも収まり、最後の曲が完成、ハリウッド・ボウルでのライブも決まって大団円、かと思いきや…というところで最後の2話へ続きます。

登場楽曲

We Are One(オリジナル)
一緒にいることで解決できる問題、共感と結束を歌っています。


  1. Paula Abdul – Opposites Attract (Official Music Video) – YouTube ↩︎
  2. The Muppets Mayhem/ザ・マペッツ・メイヘム シーズン1 第1〜2話 解説&補足 | Muppamiroh ↩︎
  3. ‘The Muppets Mayhem’ Creators on The Electric Mayhem’s Backstories
    余談ですが、ズート仮装軍団の一人はティースのマペットパフォーマーBill Barreta(ビル・バレッタ)のお子さんだとか(Jackson Barretta | Muppet Wiki | Fandom)。 ↩︎
  4. Riverbottom Nightmare Band | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
  5. Golden Oak Ranch | A Movie Ranch Like No Other
    過去のマペッツ関連作品や『カントリー・ベアーズ』、『ワンダヴィジョン』など多くの作品で使用されています。スタジオ全体の様子→Disney’s Golden Oak Ranch locations used in Wandavision – YouTube ↩︎
  6. Beehive=蜂の巣とBeyoncéをかけた造語。 ↩︎
  7. Believer=信者とBieberをかけた造語。 ↩︎
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