シリーズ・短編作品

The Muppets Mayhem/ザ・マペッツ・メイヘム シーズン1 第3〜4話 解説&補足

記事で扱っているエピソードまで視聴していることを前提として書かれています。※それ以降のネタバレは含みません。
過去に公開された作品(映画含む)の内容に触れている場合があります。

シーズン1 第3話 Track 3: Exile on Main Street/トラック3:メイン・ストリートのならず者

タイトル

1972年リリースのThe Rolling Stones(ローリング・ストーンズ)のアルバム名”Exile on Main St.”より。

ネタ解説&補足

サイモン
アバンタイトルで、バンはハリウッドの歴史あるホテルChateau Marmont Hotelの前を走っていきます。アニマルがサイモンと呼ぶのは、光るボタンの順番を覚えるゲームで、1970年代末〜1980年代にブームになったものです。現在はハズブロ社から発売されています。

ゼッドのスタジオ
前回に引き続きZedd(ゼッド)が登場。リップスとは言葉が通じており、独特のハンドシェイクもしていて親しい間柄が伺えます。ただし一緒に仕事はしたことがないようで、EDMを主とする彼の音楽の作り方にメンバーたちは戸惑っています。アニマルがドラムマシンを見て「サイモン?」と聞いています(アバンタイトル参照)。

ムーグとノラの黒歴史
ムーグはPrince(プリンス)、Stevie Nicks(スティーヴィー・ニックス)、ノラはTina Turner(ティナ・ターナー)(…に似た人)の話をしています。試食販売員は英語ではcorn dog(アメリカンドッグのようなもの) の試食を配っていた、となっています。「孤独のヒーロー」は1985年の映画『Mad Max Beyond Thunderdome(マッドマックス/サンダードーム)』 の主題歌”We Don’t Need Another Hero(Thunderdome)”の邦題。この映画にはティナ・ターナーも出演しています。

ゼディ・クルーガー
JJがゼッドのことをZeddy Kruegerと呼んでいます。ホラー映画シリーズ『A Nightmare on Elm Street(エルム街の悪夢)』に登場するフレディ・クルーガーをもじっているのでしょう。送金(ベンモ)する、というのはアメリカの個人間送金アプリVenmoで送金する、ということ。ゼッド・ダンソンは俳優Ted Dansonのもじり? こういうのが業界人っぽい喋りなんでしょうか。

スマッジングでチャクラを…
sage smudgingは、ハーブ(セージ)を燻す=smudgeして行うネイティブアメリカンの儀式、らしいです。パーミングは手のひらを使ったリラクゼーション手法(?)。

アニマルが好きな場所
英語では「the Roxy to the Tar Pits」、ライブハウスのロキシー・シアターから、天然アスファルトの池と博物館があるラ・ブレア・タールピットまで。ズートの言う「レンタル店が閉店していた」は具体的にはVan NuysのBlockbuster(ビデオレンタルチェーン店)。いずれもロサンゼルス近辺です。

荷物を背負いし獣(ビースト・オブ・バーデン)
The Rolling Stones(ローリング・ストーンズ)が1978年にリリースした曲、”Beast of Burden”より。

レコーディング2日目
スタジオには女優・歌手のSofia Carson(ソフィア・カーソン)が来ています。彼女はリップスに恩があるようです。その日の夜にバンが走り抜けるのは、『The Muppets/ザ・マペッツ(2011年)』でマペット・シアターとして使われたEl Capitan Theatreの前です。

鉄板焼レストラン
アニマルはエージェントのガス(演:Ben Schwartz)から清掃員、電話番を紹介され、最後には鉄板焼レストランで才能を発揮します。アメリカではメジャーな目の前でパフォーマンスをしながら調理するスタイルのレストランで、ドラムテクニックと通じるところがあったようです。シェフを演じているのは90代のベテラン俳優James Hong(ジェームス・ホン)。フロイドがレストランでのアニマルを見て「ヒバチ」と言うのは、英語では鉄板焼(レストラン・料理)のことを「Hibachi」と呼んでいるから。ズートはクシャミの音と聞き違えています。その後ジャニスが言う「If You Love Somebody Set Them Free」はSting(スティング)の曲名と同じですが、Benny Hana(ベニー・ハナ)という人物については特定できず。アメリカの鉄板焼レストランチェーンBenihanaとかけていると思われます。

保護者フロイドとアニマル
アニマルは鎖付きの首輪をつけており、以前からフロイドが鎖を持っていることが多かったものの、保護者として明言されたのはおそらく今回が初。また、アニマルが家の前に置き去りにされていた、というのも初出です。幼少時のアニマルは過去作品やアニメ『マペット・ベビー』などに登場しています1。今回はデザインが少し変わり、それらよりも小さい頃の姿に見えます。フロイドのベースケースにはその時の「Keep」というメモと、ジャニスの写真が入っています。

登場楽曲

Makin’ Mayhem(オリジナル)
「メイヘムらしくない」ということで、ゼッドとソフィアにあげた曲。「彼らはヒットソングを求めていたから私が来た」「エレクトリックメイヘムについての歌」という即興の歌詞がそのまま使われています。ドラマのサウンドトラックアルバムに収録されており、トータル35秒です。

Bridge Over Troubled Water(カバー)
原曲:Simon & Garfunkel “Bridge Over Troubled Water”(1969年)
フロイドがアニマルに子守唄として歌っていた曲。どんな困難があっても君を支えていくよ、という歌です。

シーズン1 第4話 Track 4: The Times They Are A-Changin’/トラック4:時代は変わる

タイトル

Bob Dylan(ボブ・ディラン)の曲 “The Times They Are A-Changin'”(1964年) より。

ネタ解説&補足

メドレー
アバンタイトルで車はパイン・ストリートを曲がり、ハリウッド・ブールバードをチャイニーズシアター方面に走っていきます。背景の看板PIZZA TWINSは『The Great Muppet Caper/マペットの大冒険 宝石泥棒をつかまえろ!(1981年)』に出てきたピザ屋と同じ名前です。メドレーで歌っているのはどれも古い曲(例えばアヴェ・マリアは1800年代)で、後の楽曲使用料云々に関わっています。Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)の”Stairway to Heaven”は1971年の曲ですが、英語ではわざわざ12分バージョンと言っています。通常版は8分程度なので、それより長いです(ライブ版?)。

シャックの地下
山小屋は階段を登ったところに出入口があるので、実際は1階です。かつてThe Mamas & the Papas(ママズ&パパス)、Sonny & Cher(ソニー&シェール)が使っており、直後に声をかけてきたのはコメディアンのCheech&Chong(チーチ&チョン)。電気が復旧した直後にテレビに映るのは『The Muppet Show/マペット・ショー(1976年)』の映像。ズートは何故かコインを浮かせてみせ、デイヴと呼ばれています2

BRB
ノラが「BRB(Be Right Back=すぐ戻る)」と言って出ていきますが、最近のスラングなのでティースたちは「Bring your own root beer」の略だと思っています。(日本語ではルートビアではなくビール)

リップスの交友関係
Kesha(ケシャ)、Desiigner(デザイナー)、Deadmou5(デッドマウス)、Ziggy Marley(ジギー・マーリィ)。それぞれジャンルはポップ、ラップ、EDM、レゲエ。リップス独自の交友関係についてはメンバーもよく知らないようです。

レコーディング
“Rockin’ Robin”がコラボ相手に強い影響を受けた楽曲になっていきます。Ziggy MarleyはBob Marleyの息子で、ジャニスとは父の関係で出会ったのかもしれません。また、直接関係はありませんがDeadmou5のマスクはジム・ヘンソン・クリーチャーショップが制作したものだそうです3

ジャニスのセラピー(?)
“Therapeutic trust fall”は背中向きに倒れて人に受け止めてもらうことで人を信頼する心を生み出すもの。「神経を切ってみる?」は”light lobotomy”で軽い脳手術。ドリルを持っているのはそのため。「カラモのセラピー」は”Karamo karma cleanse”、直後に登場する司会者のKaramo Brown(カラモ・ブラウン)本人が直接癒やしてくれるようです。

VHSビデオ
ムーグのデモCDを聞いたノラが再生するVHSビデオ、『The Muppet Show/マペット・ショー(1976年)』など古い映像もありますが、比較的最近のイベントThe Outside Lands music festival 20164も含まれています。すべて地下室に元々置いてあったのかは不明。

ジャニスの過去
双子である、というのは今回が初出。ノラとハナが仲違いするきっかけを作ってしまった責任だけではなく、家族と疎遠になった自分のようになって欲しくなかったんですね。

登場楽曲

※冒頭のメドレーは省略します

Rockin’ Robin(カバー)
原曲:Bobby Day “Rockin’ Robin”(1958年)
The Muppet Show/マペット・ショー(1976年)』でエレクトリック・メイヘムがカバーしたもの。朝から晩まで歌い続ける鳥をテーマにした陽気なロック。

God Only Knows(カバー)
原曲:The Beach Boys “God Only Knows”(1966年)
ムーグのデモCDに入っていた曲。愛する人との信頼関係を歌っています。


  1. Animal’s Alternate Ages | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
  2. ズートのマペットパフォーマーはDave Goelz。
    Dave Goelz | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
  3. Deadmau5 (2012) – Jim Henson’s Creature Shop
    Deadmau5 – Jim Henson’s Creature Shop ↩︎
  4. エレクトリック・メイヘムがサンフランシスコのミュージックイベントで20分間のライブパフォーマンス | Muppamiroh ↩︎
タイトルとURLをコピーしました