Disney+オリジナル作品『The Muppets Mayhem/ザ・マペッツ・メイヘム(2023年)』では、ザ・マペッツのバンド、エレクトリック・メイヘム(Dr.Teeth and the Electric Mayhem)が初めてのオリジナルアルバムを制作しました。本記事では、私個人が『ザ・マペッツ・メイヘム』以前の作品から選んだ彼らの代表曲をご紹介します。
本題の前にちょっとだけ。
キャスト(マペットパフォーマー)の移り変わりについて
彼らはデビュー時からキャスト(マペットパフォーマー)がほぼ入れ替わっているため、声にも違いがあります。
ドクター・ティース(Dr.Teeth) ジム・ヘンソン(〜1990年)→ビル・バレッタ(2005年〜)
フロイド・ペッパー(Floyd Pepper) ジェリー・ネルソン(〜2003年)→マット・ヴォーゲル(2008年〜)
ズート(Zoot) デイブ・ゴールツ
ジャニス(Janice) リチャード・ハント(〜1991年)→デヴィット・ルドマン(2008年〜)
アニマル(Animal) フランク・オズ(〜2000年)→エリック・ヤコブソン(2002年〜)
リップス(Lips) スティーブ・ウィットマイア(〜2016年)→ピーター・リンツ(2017年〜)
Spotifyプレイリスト作りました
本記事にあわせて、エレクトリック・メイヘムのオリジナル曲とカバー曲および原曲からセレクトしたSpotifyプレイリストを作りました。記事中で触れた曲で音源のあるものは、ほぼ網羅しています(日本未配信曲も含む)。
今後も随時、曲を追加していきたいと思います。下記リンクからどうぞ!
代表曲紹介
彼らが参加した曲は100以上あり、更にバックバンドのみの曲も含むとかなりの数になります1、が、デビューした1970年代からレコードやCDなど映像作品以外で音源収録されている曲は限られています。また、カバー曲の割合も多いです。エレクトリック・メイヘムとしてのアルバムは2023年の『The Muppets Mayhem』が実際に初めてのものです。
本記事ではCD・配信や映像作品(Youtube動画含む)で聞けるものを中心に選んでいます。
1979年〜1981年『マペット・ショー』
エレクトリック・メイヘム(ドクターティースとエレクトリック・メイヘム、Dr.Teeth and the Electric Mayhem)はテレビシリーズ『The Muppet Show/マペット・ショー(1976年)』で座付きバンド(ハウスバンド)として登場。『マペット・ショー』全体では600を超える楽曲が使われています2。本記事では、彼らがメインで参加したものから少しだけ選曲しました。
Tenderly(カバー)
原曲:Walter Gross & Jack Lawrence “Tenderly”(1946年)
『マペット・ショー』Ep116より。複数のマペッツ関連アルバムに収録されていた曲です。 元はジャズバラード(参考:Nat King Cole – “Tenderly” – YouTube)、こちらは思いきりロックアレンジされており、彼ららしいカバーです。
Mr. Bassman(カバー)
原曲:Johnny Cymbal “Mr.Bassman”(1963年)
『マペット・ショー』Ep124より。こちらも何度かマペッツ関連アルバムに収録されていた曲です。スクーターはバンドメンバーではありませんが、フロイドがボーカルとベースで、他メンバーはバックで参加しています。
ちなみにフロイドが『マペット・ショー』Ep419でソロカバーしたThe Beatles “While My Guitar Gently Weeps”も個人的に好きなのでぜひ聞いてみてください。→Muppet Songs: Floyd Pepper – While My Guitar Gently Weeps – YouTube こちらも過去のアルバムに収録されたことがあります。
Barnyard Boogie(カバー)
原曲:Louis Jordan “Barnyard Boogie”(1948年)
『マペット・ショー』Ep504より。リップスも参加しています。原曲では動物の鳴き真似になっているところが実際の(マペットの)動物と一緒の賑やかなセッションになっています。過去のアルバムにも収録あり。
その他 1979年〜1980年代
Can You Picture That?(オリジナル)
『The Muppet Movie/マペット・ムービー(マペットの夢見るハリウッド)(1979年)』劇中曲で、彼らにとって最も代表的なオリジナル曲です。タイトルを直訳すると「それを想像できる?」、歌詞は全体的に抽象的。とにかく楽しく自由に色々やってみようぜ!という感じです。
下記の1979年バージョンと2023年バージョンを聴き比べると、キャストの違いがわかりやすいです。
Little Saint Nick(カバー)
原曲:The Beach Boys “Little Saint Nick”(1963年)
1979年のアルバム『John Denver & The Muppets Christmas Together』に収録。原曲とほぼテンポは変わらず、ちょっとロックアレンジになっています。
Happiness Hotel(オリジナル)
『The Great Muppet Caper/マペットの大冒険 宝石泥棒をつかまえろ!(1981年)』の劇中曲。エレクトリック・メイヘムがメインではありませんが、後半からメンバー全員が参加しています。
なお同作には走行中のバスの上で演奏した『Night Life』という曲もあり、2011年のマペッツカバーアルバム『The Green Album』にはBrandon Saller & Billy Martinによるバージョンが収録されています。
You Can’t Take No for an Answer(オリジナル)
『The Muppets Take Manhattan/マペット めざせブロードウェイ!(1984年)』の劇中曲。カーミットたちがオリジナルミュージカルの売り込みに奮闘するシーンの後ろで流れ、歌詞も「(自分たちに対して)ノーと言う回答はできないだろう」という内容になっています。
1987年にはTVスペシャル『A Muppet Family Christmas』でBobby Helms “Jingle Bell Rock”(1957年) のカバーを披露。また1984年〜1987年のステージショー『The Muppet Show: On Tour!3』にも出演しています。
1990年代以降
1990年にジム・ヘンソンが亡くなり、彼が担当していたドクター・ティースは殆ど喋らない時期が続きました4。またジャニスを担当していたリチャード・ハントも1992年に亡くなっています。
それに伴い、しばらくはエレクトリック・メイヘムはボーカルなしの出演が中心でした。例えば『The Muppet Christmas Carol/マペットのクリスマス・キャロル(1992年)』ではパーティーのバンドとして全員登場しFozziwig’s Partyの曲を演奏していますが、声が入っているのはアニマルだけです。
『Muppet Treasure Island/マペットの宝島(1996年) 』ではズートとフロイドに台詞がありますが、これも演奏のみでした。
2005年以降
ビル・バレッタが『The Muppets’ Wizard of Oz/マペットのオズの魔法使い(2005年)』からドクター・ティースを担当。以降はドクター・ティースのボーカル曲も本格的に復活します。
‘Zat You, Santa Claus?(カバー)
原曲:Louis Armstrong and The Commanders “Zat You, Santa Claus? “(1953年)
2006年のクリスマス・アルバム『A Green and Red Christmas』に収録。実質、エレクトリック・メイヘムの復帰曲です。
同アルバムには『Run, Run Rudolph(Run Rudolph Run)』、フロイド、アニマル、ズートによる『The Man with the Bag』も収録されています。
Bohemian Rhapsody(カバー)
原曲:Queen “Bohemian Rhapsody”(1975年)
2009年にYoutubeで公開後から話題となり、マペッツ関連動画ではまさに桁違いの再生回数になっています。The Muppetsとしての曲ですが、アニマルやエレクトリック・メイヘムのパートがあります。バックの音源はQueenの原曲が使われていて、実質オフィシャルカバーといったところです。
Pictures in My Head(オリジナル)
『The Muppets/ザ・マペッツ(2011年)』劇中曲。後半にエレクトリック・メイヘムのパートがあります。
No Room for Boring(オリジナル)
2014年に放映された、アメリカのToyota Highlanderコマーシャルより。短い曲ではありますが、CM動画自体もエレクトリック・メイヘムが主役の賑やかで楽しいものになっています。
2014年当時はメンバーのソロパートを含むミュージックビデオもあったはずなのですが、現在は削除されてしまっています。下記記事にて他の動画もご紹介していますので、ぜひどうぞ。
Jungle Boogie(カバー)
原曲:Kool & the Gang “Jungle Boogie”(1973年)
2015年にYoutubeで公開されたミュージックビデオ。生真面目なサム・ザ・イーグルとの共演。最後にはファンクのリズムにノリノリです。
Kodachrome(カバー)
原曲:Paul Simon “Kodachrome”(1973年)
2015年にYoutubeで公開されたミュージックビデオ。元はフィルムカメラの思い出を歌った曲で、ステージの背景にマペッツの仲間たちが続々映し出されます。
With A Little Help From My Friends(カバー)
原曲:The Beatles “With A Little Help From My Friends”(1967年)
2016年にサンフランシスコで開催されたThe Outside Lands music festival 2016にエレクトリック・メイヘムが出演し、『Can You Picture That?』およびカバー曲4曲のライブパフォーマンスを披露しました5。
ライブのトリを飾った『With A Little Help From My Friends』はその後2017年と2018年のライブイベント6でも演奏。2020年のコロナ禍によるThe Late Late Show with James Cordenのビデオセッションでも仲間たちと一緒に歌っています。
Dancing in the Moonlight(カバー)
原曲:King Harvest “Dancing in the Moonlight”(1970年)
『Muppets Haunted Mansion/マペットのホーンテッドマンション(2021年)』エンディング曲。月明かりの下で友人たちと楽しく踊って過ごす…というような歌詞ですが、本作の場合は幽霊たちと踊るイメージです。
Mr. Blue Sky(カバー)
原曲:the Electric Light Orchestra “Mr. Blue Sky”(1977年)
2021年のYoutubeチャリティ番組にあわせて制作されたミュージックビデオでのカバー。タイトルと歌詞にあわせてズートが映像上の主役となっています。
2023年
彼らが主役のシリーズ『The Muppets Mayhem/ザ・マペッツ・メイヘム(2023年)』にてオリジナルも含め多くの曲が披露されました。各話紹介記事および登場楽曲プレイリストで紹介しています。
The Muppets Mayhem/ザ・マペッツ・メイヘム エピソード紹介記事
シーズン1 Ep01-02 / Ep03-04 / Ep05-06 / Ep07-08 / Ep09-10
配信前後の情報まとめ / 登場楽曲プレイリスト&シリーズ終了後の情報 / 出演作の歴史とメンバー紹介 / 代表曲紹介※2022年まで / 関連記事すべて
出演作の歴史とメンバー紹介は下記記事をどうぞ。
- Dr. Teeth and the Electric Mayhem songs | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
- Category:Muppet Show Songs | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
- The Muppet Show: On Tour! | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
- 『Muppets on Location: Days of Swine and Roses(1991年、ステージショー)』『Muppets from Space/ゴンゾ宇宙に帰る(1996年)』など暫定的なキャストとしてJohn Kennedyが2003年頃まで演じていました。参考:Dr. Teeth | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
- Outside Lands Music and Arts Festival | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
- 野外ライブステージ The Muppets Take the Bowl 特集(1)現地レポートほか | Muppamiroh
The Muppets Take the Bowl | Muppet Wiki | Fandom ↩︎
野外ライブステージ The Muppets take The O2 特集(1)開催概要、関連記事 | Muppamiroh
The Muppets Take the O2 | Muppet Wiki | Fandom ↩︎ ↩︎