Disney+オリジナル作品『The Muppets Mayhem/ザ・マペッツ・メイヘム』は、ザ・マペッツのバンド、エレクトリック・メイヘム(Dr.Teeth and the Electric Mayhem)が初めて主役になったシリーズ作品です。この記事ではあらためて、バンドとメンバーの歴史についてご紹介したいと思います。
出演作の歴史
エレクトリック・メイヘム(ドクターティースとエレクトリック・メイヘム、Dr.Teeth and the Electric Mayhem)はテレビシリーズ『The Muppet Show/マペット・ショー(1976年)』および事前のパイロット版・プロモーション等1で、ショーの座付きバンド(ハウスバンド)として登場しました。
メンバーはドクター・ティース(Dr.Teeth)、フロイド・ペッパー(Floyd Pepper)、ズート(Zoot)、ジャニス(Janice)、アニマル(Animal)。追加メンバーのリップス(Lips)がいます。※詳しくは本ページのメンバー紹介参照
主な出演作
『The Muppet Movie/マペット・ムービー(マペットの夢見るハリウッド)(1979年)』ではカーミットたちとの出会いが描かれています。この時点でのメンバーはリップスを除く5名。あくまでも劇中設定だけかもしれませんが、巡業マネージャーおよび車の所有者としてスクーター(Scooter)もいます。ここで披露されたのが彼らの代表曲となる『Can You Picture That?』です。また、彼らの象徴であるバス2も登場しています。
その後のマペッツ映画・長編作品にもほぼ出演。
『The Great Muppet Caper/マペットの大冒険 宝石泥棒をつかまえろ!(31981年)』
『The Muppets Take Manhattan/マペット めざせブロードウェイ!(1984年)』
『The Muppet Christmas Carol/マペットのクリスマス・キャロル(1992年)』
『Muppet Treasure Island/マペットの宝島(1996年) 』
『Muppets from Space/ゴンゾ宇宙に帰る(1996年)』
『The Muppets’ Wizard of Oz/マペットのオズの魔法使い(2005年)』
『Muppets Haunted Mansion/マペットのホーンテッドマンション(2021年)』
など、元と設定が違う場合もバンドとして登場しています。
マペット・ショーでの設定に近いものは
『The Muppets/ザ・マペッツ(2011年)』
『Muppets Most Wanted/ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー(2014年)』
『The Muppets(TV Series)/ザ・マペッツ(TVシリーズ)(2015年)』では彼らのプライベートが垣間見れるような描写がありましたが、主役級に扱われたのは『The Muppets Mayhem/ザ・マペッツ・メイヘム(2023年)』が初です。
映像作品以外ではステージライブパフォーマンスを2016年の『The Outside Lands music festival(アウトサイド・ランズ音楽祭)』4、2017年『The Muppets Take the Bowl 』5、2018年『The Muppets take The O2』6などで披露しています。またCM出演やMVもあります(詳細は楽曲紹介記事にて)」
参考:Dr. Teeth and the Electric Mayhem | Muppet Wiki | Fandom
メンバー紹介
ドクター・ティース(Dr.Teeth)
リーダーでキーボードとボーカル担当。肌は緑色で赤毛。長い腕と大きな口、金歯が特徴。
マペットパフォーマー:ジム・ヘンソン(〜1990年)→ビル・バレッタ(2005年〜)
参考:Dr. Teeth | Muppet Wiki | Fandom
フロイド・ペッパー(Floyd Pepper)
ベースとボーカル担当。紫色の肌と赤い髭が特徴。後述のアニマルをなだめる役割もあり、首輪の鎖を持つのも彼。ジャニスとは親しい間柄と思われる描写あり。
マペットパフォーマー:ジェリー・ネルソン(〜2003年)→マット・ヴォーゲル(2008年〜)
参考:Floyd Pepper | Muppet Wiki | Fandom
ズート(Zoot)
サックスなど管楽器担当。水色の肌と青毛、サングラスが特徴。居眠りしていることが多く、口数が少ない。
マペットパフォーマー:デイブ・ゴールツ
(参考:Zoot | Muppet Wiki | Fandom)
ジャニス(Janice)
リードギターとボーカルを担当。バンドの紅一点。黄色い肌と髪、厚めの唇が特徴。スピリチュアル系でマイペース。フロイドとは親しい間柄と思われる描写あり7。
マペットパフォーマー:リチャード・ハント(〜1991年)→デヴィット・ルドマン(2008年〜)
参考:Janice | Muppet Wiki | Fandom
アニマル(Animal)
ドラム担当。オレンジ色の肌、赤い髪、太い眉が特徴で感情の起伏が激しい。名前の通り野性的・本能的で普段は簡単な言葉しか喋れないが、凄まじいドラムテクニックを持っている。バンド外での活躍も多いキャラクター。
マペットパフォーマー:フランク・オズ(〜2000年)→エリック・ヤコブソン(2002年〜)
参考:Animal | Muppet Wiki | Fandom
リップス(Lips)
トランペット担当。『マペット・ショー』シーズン5より登場し、その後しばらくいない時期があったが、2009年からメンバーとして復帰。ほぼ喋らず謎の多いキャラクター。
マペットパフォーマー:スティーブ・ウィットマイア(〜2016年)→ピーター・リンツ(2017年〜)
参考:Lips | Muppet Wiki | Fandom
メンバーのキャラクター造形について
『The Muppets Mayhem/ザ・マペッツ・メイヘム(2023年)』配信開始前、ジム・ヘンソンの伝記を執筆したブライアン・ジェイ・ジョーンズがTwitterで各メンバーのキャラクター造形についてツイート8しているので、それを元にまとめます。
ドクター・ティース(Dr.Teeth)
ミュージシャンのドクター・ジョン(Dr. John)9がモデルとされています。
And finally, we come to Dr. Teeth.
— Brian Jay Jones (@brianjayjones) April 12, 2023
Now, THIS is the one who is clearly inspired by a real-life performer–in this case Dr. John. pic.twitter.com/a4gyemtdYD
Jim Henson's early design (on the left) is clearly Dr. John influenced, and designer Michael Frith (there he is again!) even gives the doc a subtle shoutout in his design, calling the character "Leon 'Doctor' Eltonjohn Dontshoot (The Piano Player)." pic.twitter.com/Jy8TTBF0Zy
— Brian Jay Jones (@brianjayjones) April 12, 2023
アニマルを演じていたフランク・オズのツイート10にも、ジム・ヘンソンはドクター・ジョンの大ファンだったとあります。(同時にアニマルには特定のモデルはいないこと、他のキャラクターに関してはわからないとも発言しています)
フロイド・ペッパー(Floyd Pepper)
特定のモデルはいないとされています。1960年代から1970年代にかけてのヒッピー文化11を思わせるキャラクターですが、衣装デザインと名前(ペッパー)はザ・ビートルズ12の曲『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band)』から来ているようです。(サージェント・ペパーはアルバムおよび曲のために作られた架空の人物13)
Here's Michael Frith's concept art for Floyd, which played up the burnt out hippie look, but isn't based on anyone specific. He was eventually put in the same costume the Beatles wore for Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band–and hence gave Floyd the last name "Pepper." pic.twitter.com/dIN7T7shlk
— Brian Jay Jones (@brianjayjones) April 12, 2023
ズート(Zoot)
外見のみサックス奏者のガトー・バルビエリ14をモデルにしたとされています。無口な性格はマペットパフォーマーのデイヴ・ゴールツによるものです。
ジャニス(Janice)
当初は男性キャラクターとしてデザインされており、唇や体格はミュージシャンのミック・ジャガー15をイメージしていたが、最終的に女性になったようです。名前のみミュージシャンのジャニス・ジョプリン16が由来、性格づけはマペットパフォーマーのリチャード・ハントによるものです。
彼女の話し方はValley girl(バレーガール)という、1970年代から1980年代にかけてアメリカで流行した若者文化17が元になっています。例えば彼女がよく使う「Fer sure」は「For sure(確かに)」のValley girl的なスラングです。
アニマル(Animal)
具体的なモデルはいないとされています。(アニマルを演じていたフランク・オズのツイート18も参照)
I'll actually start with Animal, because I see this one the most:
— Brian Jay Jones (@brianjayjones) April 12, 2023
MYTH: "Animal is based on Keith Moon/Mick Fleetwood/Some Other Crazy Drummer."
FACT: Most likely not. Jim Henson's early drawings play up his crazy hair, but isn't based on any real musician. pic.twitter.com/s8H3UlHJGQ
リップス(Lips)
外見のモデルは不明。性格についても、『The Muppets(TV Series)/ザ・マペッツ(TVシリーズ)(2015年)』で少し喋ったくらいで、『The Muppets Mayhem/ザ・マペッツ・メイヘム(2023年)』から明らかになってきました。
上記「メンバー紹介」からリンクしているMuppet Wikiの記事にもコンセプトスケッチなどが掲載されていますので参考にしてください。
彼らの代表曲については下記記事をどうぞ。
- The Muppet Show: Sex and Violence | Muppet Wiki | Fandom(1975年) ↩︎
- エレクトリック・メイヘムは彼ら自身が装飾を施した自動車(バス(The Electric Mayhem Bus | Muppet Wiki | Fandom)またはバン(The Electric Mayhem Van | Muppet Wiki | Fandom)で行動することが多い。 ↩︎
- なお、1990年代(オリジナルキャストのジム・ヘンソンやリチャード・ハントが亡くなった後)特にアニマル以外はほぼセリフがなかったり出番が少なめでした。 ↩︎
- エレクトリック・メイヘムがサンフランシスコのミュージックイベントで20分間のライブパフォーマンス | Muppamiroh
Outside Lands Music and Arts Festival | Muppet Wiki | Fandom ↩︎ - 野外ライブステージ The Muppets Take the Bowl 特集(1)現地レポートほか | Muppamiroh
The Muppets Take the Bowl | Muppet Wiki | Fandom ↩︎ - 野外ライブステージ The Muppets take The O2 特集(1)開催概要、関連記事 | Muppamiroh
The Muppets Take the O2 | Muppet Wiki | Fandom ↩︎ - 筆者の主観ですが、公私共にパートナー…というよりは少しドライな関係に感じられます。 ↩︎
- Brian Jay Jones @brianjayjones / Twitter(2023年4月13日) ↩︎
- ドクター・ジョン – Wikipedia ↩︎
- Frank Oz @TheFrankOzJam / Twitter(2020年11月29日) ↩︎
- ヒッピー – Wikipedia ↩︎
- ビートルズ – Wikipedia ↩︎
- サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (曲) – Wikipedia ↩︎
- ガトー・バルビエリ – Wikipedia ↩︎
- ミック・ジャガー – Wikipedia ↩︎
- ジャニス・ジョプリン – Wikipedia ↩︎
- カリフォルニア女子が話す “ギャル語” とは? -バレー・ガールのクセが強い英語- – ENGLISH JOURNAL ↩︎
- Frank Oz @TheFrankOzJam / Twitter(2020年11月29日)[ ↩︎